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【 問題 】
(1) クライン-ゴルドン方程式(スピンのない粒子)に対するラザフォード散乱公式を計算せよ.
( 結果:上記の公式で \(1 – v^2 \sin^2(\theta/2)\) を \(1\) で置き換えたものになる.)
(2) この散乱公式は陽電子に対しても正しいことを示せ(行列要素の計算に陽電子状態を用いよ).
〈 (1) の解答例 〉 問題 (1) は, W.Greiner : Quantum Electrodynamics § 8 の文章を抜粋することで解答とする.
〈 (1) の解答例 〉空孔理論によれば,『陽電子は「負のエネルギー」,「負の運動量」,「負のスピン」を持ち「負の時間方向」を進む電子』として記述される.従って,「正エネルギーを持った陽電子が運動量 \(p_1\) とスピン \(s_1\) を持って入射し,散乱後は運動量 \(p_2\) とスピン \(s_2\) で射出して行く」ならば, それは「負エネルギーを持った電子が運動量 \(-p_2\) とスピン \(-s_2\) を持って入射し, 散乱後は運動量 \(-p_1\) とスピン \(-s_1\) で射出して行く」過程と見做すことが出来る.よって, 電子の初期状態 \(\psi_i\) と終状態 \(\psi_f\) は, \begin{align*} \def\mb#1{\mathbf{#1}} &\psi_{i}(-p_2,-s_2)=u_i(-p_2,-s_2)e^{-i(-p_2)\cdot x}=u_i(-p_2,-s_2)e^{+ip_2\cdot x},\tag{1a}\\ &\psi_{f}(-p_1,-s_1)=u_f(-p_1,-s_1)e^{-i(-p_1)\cdot x}=u_f(-p_1,-s_1)e^{+ip_1\cdot x},\\ &\rightarrow\quad \tilde{\psi}_{f}(-p_1,-s_1)=\bar{u}_f(-p_1,-s_1)e^{-ip_i\cdot x} \tag{1b} \end{align*} となり, そして初期状態 \(\psi_i\) から終状態 \(\psi_f\) への1次の遷移振幅は \(p\cdot x=Et-\mb{p}\cdot\mb{x}\) として次となる: \begin{align*} M&=-i\int \tilde{\psi}_{f}(-p_1,-s_1)\frac{-Ze^{2}}{r}\psi_{i}(-p_2,-s_2)\,d^{3}\mb{x}\,dt \\ &=i\int \tilde{u}_f(-p_1,-s_1)e^{-ip_1\cdot x}\frac{Ze^{2}}{r}u_i(-p_2,-s_2)e^{+ip_2\cdot x}\,d^{3}\mb{x}\,dt\\ &=i\bigl(\tilde{u}_f\gamma^{0}u_i\bigr)\left[ \int e^{+i \mb{p}_1 \cdot \mb{x}} \frac{Ze^2}{r} e^{-i \mb{p}_2 \cdot \mb{x}}\, d^3\mb{x} \right] \left[ \int e^{-i E_1 t} e^{+i E_2 t}\, dt \right] \tag{2} \end{align*} この場合の時間積分は時間を逆行して考えるのであった.それは積分変数を \(\tau=-t\) に変えることなどをしてみれば, 結局はマイナス符号が付くだけの違いとなることが分かる: \begin{align*} \int_{+\infty}^{-\infty} e^{-i E_1 t} e^{+i E_2 t}\, dt &=\int_{-\infty}^{+\infty} e^{i E_1 \tau} e^{-i E_2 \tau}\, (-d\tau) = -\int_{-\infty}^{+\infty} e^{i(E_1-E_2)\tau}\,d\tau\\ &=-2\pi \delta(E_1-E_2)=-2\pi \delta(E_2-E_1) \end{align*} しかし微分散乱断面積を求めるには遷移振幅 \(M\) の絶対値を用いるので, このマイナス符号の付加は考慮しなくて良い.座標積分は全く同じ形である. 次に行列要素 \(\bigl(\tilde{u}_f\gamma^{0}u_i\bigr)\) を調べてみよう.電子散乱の場合と同様に \(s_1=+1,s_2=+1\) を考えると, この場合は \(s_i=-1,s_f=-1\) となる.また \(F_i=F_f=|-E|+mc^{2}=E+m=F_2=F_1\) である.さらに \(p_{i-}=-(p_{2-})\) そして \(p_{f+}=-(p_{1+})\) となるから \(p_{i-}p_{f+}=(-p_{2-})(-p_{1+})=p_{2-}p_{1+}\) である.従って,

