問題 8-4 の解答例

Feynman-Hibbs cover

Problem 8-4
Show that the ground-state wave function for the lagrangian of Eq. (8-78) can be written

(8-83)Φ0=Aexp(12α=0N1ωαQαQα)

(where A is a constant) by starting with the wave function in terms of the real variables QαC and QαS.


( 解答 )  前述の問題 8-3 に於いて,「QαCQαS は共に基準座標であり, そして系のラグランジアン (8-78′) は, 式 (8-79) と式 (8-81) を用いると次に書ける」ことが分かった:

(8-78′)L=12α=12(N1)12(N1)(Q˙αQ˙αωα2QαQα)=α=012(N1)12{(Q˙αC)2ωα2(QαC)2}+α=112(N1)12{(Q˙αS)2ωα2(QαS)2}(1)=α=012(N1)LαC+α=112(N1)LαS

従って, 系のラグランジアン L12(N+1) 個のラグランジアン LαC12(N1) 個のラグランジアン LαS とを合計した N 個のラグランジアンの和として表されることになる.
また, 式 (8-2) のラグランジアンに対する基底状態の波動関数は式 (8-17) であった:
(2)L=12(mx˙2mω2x2)ϕ0(x)=(mωπ)1/4exp(12mωx2)

本文に於いて, ラグランジアン L が式 (8-57) で与えられるときに, 全系の波動関数は式 (8-62) で与えられた:
(3)L=12α=1n(Q˙α2ωα2Qα2)Φ=α=1nϕmα(Qα)

これと同様に考えるならば, 式 (1) と式 (2) から, 系の基底状態の波動関数 Φ0 は, 式 (2) の L に於いて
m1,ωωα,xQαC,orxQα S

の置き換えに対応した次の関数 ϕαα についての積となるであろう:
Φ0=α=012(N1)ϕαCα=112(N1)ϕαS,(4)ϕαC=AαCexp{12ωα(QαC)2},ϕαC=AαSexp{12ωα(QαS)2}

Q0S=0 より ϕ0S=1 であることを考慮すると, Φ0 は次としてもよい:
Φ0=α=012(N1)ϕαCα=012(N1)ϕαS=α=012(N1)ϕαCϕαS

また A=AαCAαS とする.すると
Φ0=α=012(N1)AαCexp{12ωα(QαC)2}AαSexp{12ωα(QαS)2}(5)=Aα=012(N1)exp[12ωα{(QαC)2+(QαS)2}]

ここで, 式 (8-79) より
(6)QαQα=12{(QαC)2+(QαS)2}(QαC)2+(QαS)2=2QαQα

よって,
(7)Φ0=Aα=012(N1)exp[12ωα2QαQα]=Aexp[α=012(N1){12ωα2QαQα}]

このとき ωα=ωα, そして QαQα=QαQα であるから,
2α=012(N1)ωαQαQα=α>0ωαQαQα+α>0ωαQαQα=α<0ωαQαQα+α>0ωαQαQα(8)=α=12(N1)12(N1)ωαQαQα=α=0N1ωαQαQα

これを上式 (7) に代入すると, 基底状態の波動関数 Φ0 は, 結局 次に書ける:
(9)Φ0=Aexp[12×2α=012(N1)ωαQαQα]=Aexp(12α=0N1ωαQαQα)