問題 6-14 の解答例

Problem 6-14
$$
Use the wave function approach to discuss the scattering of an electron from a sinusoidally oscillating field whose potential is given by

Show that in the first-order Born approximation the energy of the outgoing wave is changed by either $+\hslash \omega$ or $-\hslash \omega$. What happens in the higher-order terms ?

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( 解答例 )　この場合は, 式(6.61) に $V(\mathbf{r},t)=U(r)\cos \omega t$ を代入すればよい．このとき肝要なのは，$\cos \omega t$ を指数関数で表現することである：

このとき, 散乱波 ${\psi }_S$ は式 (6.61) より次となる：

これは, 前の問題 6-13 の解答中の式(3)の$I$ に於いて ${\displaystyle V({\mathbf{r}}_c,t_c)=\frac{U({\mathbf{r}}_c)}{2}(e^{i\omega t_c}+e^{-i\omega t_c})}$ としたものに相当するから, 次に書き換えることが出来る：

そこで, 前の問題 6-13 の解答と同様に時間積分だけを取り出して考え, それを $I_t$ とすると,

このとき $e^{i\omega t_c}$ と $e^{-i\omega t_c}$ とは, 次のように書けることに注意する：

従って, 式(4)は次のように書き直すことが出来る：

これは, 前の問題 6-13 の解答中の式(4)に於いて $E_a\to E_a-\hslash \omega$ としたものと $E_a\to E_a+\hslash \omega$ としたものとの和と見做すことが出来る．よって, 前の結果をそこだけ修正すればよい．従って, 前の問題 6-13 の式 (6-62) の「散乱波」に相当する第2項目の式は次となる：

また, 同様にして前の問題 6-13 の式 (6-63) の散乱波に相当する第2項目の式は次となる：

このとき形状因子$f(\mathbf{q})$ は式 (6-64) の $V(\mathbf{r})$ を $U(\mathbf{r})$ とするだけであることは明らかである：

以上から，1次のボルン散乱波 ${\psi }_S$ のエネルギーは, 入射波のエネルギー $E_a$ に比べ $+\hslash \omega$ または $-\hslash \omega$ だけ変化すると言える．
　高次の項については, 次節の問題 (6-27) に類似した設問がされている．よって, 高次の項についての考察はそこで行うことにして, ここでは省略することにしよう．