問題 7-15 の解答例

Feynman-Hibbs cover

Problem 7-15
Show that the rule works for two successive momenta, that is,

χ|mxk+1xkεmxkxk1ε|ψ=χ(x,t)ppψ(x,t)dx(7-97)=2χ(x,t)2x2ψ(x,t)dx

(注意) 原書では, 式 (7-97) の表現が次のようになっている:
χ|mxk+1xkεmxkxk1ε|ψ=χ(y,t)ppψ(x,t)dxdy=2χ(y,t)2x2ψ(x,t)dxdy
しかし,「連続する2つの量の場合には訳書のような表現式の方が良いのではないか」と思われたため,そちらに従って書き換えたので注意すべし.


 
( 解答 ) 本文の式 (7-96) 及びその導出手順を利用して求めて行こう.
速やかに続けて測定される2つの量を含む式 G を考える. pkm(xk+1xk)/ε として,

(1)G=m(xk+1xk)εm(xkxk1)ε=pkm(xkxk1)ε=mεpk(xkxk1)

とする.このとき式 (7-96) は次のように表わせることになる:
(2)χ|mxk+1xkεxk|ψ=χ|pkxk|ψ=dxχ(x,t)pxψ(x,t)

この式 (2) を用いると G の遷移要素要素は次となる:
χ|G|ψ=mεχ|pkxk|ψmεχ|pkxk1|ψ(3)=mεdxχ(x,t)pxψ(x,t)mεχ|pkxk1|ψ

この第2項中の遷移要素 χ|pkxk1|ψ を考える. x=xk,y=xk1,t=tk とすると,
χ|pkxk1|ψ=χ|pk(dxk|xkxk|)(dxk1|xk1xk1|)xk1|ψ=dxkdxk1χ|xkpkxk|xk1xk1xk1|ψ=dxdyχ(x,t)p(t)K(x,t;y,tε)yψ(y,tε)(4)=dxχ(x,t)p(t)dyK(x,t;y,tε)yψ(y,tε)

そこで, 上式中にある dy 積分を考えてみる.経路積分ゼミナールを参照すると次が成立するようだ:
(5)dyK(x,t;y,tε)yψ(y,tε)=xψ(x,t)+iεmxψ(x,t)

この式が成立することは, τ=tε そして f(y,τ)=yψ(y,τ) とし, シュレディンガー方程式から言える演算子関係:t=Hi 及び式 (4-23):HxxH=2mx を用いることで以下のように示すことが出来る:
dyK(x,t;y,tε)yψ(y,tε)=dyK(x,τ+ε;y,τ)yψ(y,τ)=f(x,τ+ε),f(x,τ+ε)f(x,τ)+ετf(x,τ)=f(x,τ)+εHif(x,τ)=(1+εHi)f(x,τ)=(1iεH)xψ(x,τ)=xψ(x,tε)iεHxψ(x,tε)=x{ψ(x,t)εψt}iεHx{ψ(x,t)εψt}=xψ(x,t)iεHxψ(x,t)+iεxHψ(x,t)=xψ(x,t)iε(HxxH)ψ(x,t)=xψ(x,t)iε(2mx)ψ(x,t)(5′)=xψ(x,t)+iεmxψ(x,t)

従って式 (4) は, この式 (5) を用いて次となる:
χ|pkxk1|ψ=dxχ(x,t)p(t)dyK(x,t;y,tε)yψ(y,tε)=dxχ(x,t)p(t){xψ(x,t)+iεmxψ(x,t)}(6)=dxχ(x,t)pxψ(x,t)+iεmdxχ(x,t)pxψ(x,t)

この結果式 (6) を式 (3) に用いると, 求めるべき式 (7-97) が得られる:
χ|G|ψ=χ|mxk+1xkεxk|ψ=mεdxχ(x,t)pxψ(x,t)mεχ|pkxk1|ψ=mεdxχ(x,t)pxψ(x,t)mε{dxχ(x,t)pxψ(x,t)+iεmdxχ(x,t)pxψ(x,t)}=dxχ(x,t)pixψ(x,t)=dxχ(x,t)ppψ(x,t)=dxχ(x,t)(ix)(ix)ψ(x,t)(7-97)=2dxχ(x,t)2x2ψ(x,t)