問題 8-2 の解答例

Feynman-Hibbs cover

Problem 8-2
Show that the matrix

τjk=αajαakαωα

is the reciprocal square root of the vjk matrix. That is, show
(8-65)l=1nm=1nτjlτlmvmk=δjk

( 注意 ) 原書の式 (8-63) と式 (8-64) 及び式 (8-65) には問題があるようだ. 上記は, 校訂版の修正された問題文である.


 
( 解答 )  式 (8-65) 中の τjl,τlm を具体的に次としよう:

(1)τjl=αajαalαωα,τlm=βalβamβωβ

式 (8-44) と式 (8-48) は, (係数が対称的 vjk=vkj であったことから)次である:
(8-44)ωα 2ajα=k=1nvjkakα=k=1nvkjakα(8-48)j=1najαajβ=δαβ

これらの式 (1), 式 (8-44), 式 (8-48) を利用すると, 式 (8-65) の左辺は次のように展開される:
l=1nm=1nτjlτlmvmk=lm(αajαalαωα)(βalβamβωβ)vmk=mαβajαamβωαωβ(lalαalβ)vmk=mαβajαamβωαωβδαβvmk=mα(βajαamβωαωβδαβ)vmk=mαajαamαωαωαvmk=αajαωα2(mvmkamα)=αajαωα2×ωα2akα(2)=αajαakα

ここで, 前式 (8-48) の両辺に akα を掛け合わせて α について和をとってみると,
αakαjajαajβ=αakαδαβ(3)j(αajαakα)ajβ=akβ

クロネッカーデルタの性質を考慮するならば, 上式左辺のカッコ内の量が δjk であれば右辺に等しくなる:
jδjkajβ=akβ

従って, 次式が成り立てば十分である:
(4)αajαakα=δjk

以上の結果式 (2) と式 (4) とから, 題意の式 (8-65) が成り立つべきである:
(5)l=1nm=1nτjlτlmvmk=αajαakα=δjk

( 参考 )  解答を得るに当たり, テル・ハール:「解析力学」の第3章を大いに参照した.そこには Feynman & Hibbs 本文の「基準座標」など多くの内容が詳しく述べられている.