前に示した第10講義から第12講義までの表示が何故かおかしくなっていたので, 再度書き直して示す.
行列の代数(ALGEBRA OF THE MATRICES)
前講で得られたディラック方程式は次であった:
これは, 次のような
ただしこれらの
しかしながら
または, 統合した表記は次である:
この
他の新しい行列は, すでに定義されている
3つの積で新たに作られる行列はこれらだけである.なぜなら, もし2つの行列が等しいとその積は減少することが可能であり, 従って
となっており,これは
4つ以上の行列の積には2つ以上の同じ行列が含まれるはずなので, それらは必ず減少出来る.従って, 線型独立な行列は16個存在する.それらの線形結合には16個の任意定数が含まれる.このことは,そのような組み合わせは
【 問題 】 次を証明せよ:
(この量
〈 解答例 〉式 (10.2) を用いて具体的に計算すると次となる:
このとき Pauli 行列
式 (1) と式 (2) から
従って,
そして式 (10.2) から,
もう一つの
次を検証すべし:
後で使用するために, 次式を定義すると便利である:[3][ブログ註] この記号は, 場の量子論に於ける「Dirac場」の研究に於いてファインマンが考案したものであり,「ファインマンスラッシュ記法」(Feynman … Continue reading
これから次式が得られる:
例として, 最初の式は次のように書くことで検証できるであろう:
そして交換関係を利用して第2因子を前方に移動する.第2因子の最初の項
なぜなら
【 問題 】 (1) 次式が成り立つことを示せ:
(2) 級数展開することで次式を検証せよ:
(3) 次式が成り立つことを示せ:
〈 解答例 〉式 (10.5) の交換関係
そして,
で
この結果式で, 例えば添字
また,
以上の結果を用いると,
従って, 式 (2) は次となる:
(2) 指数関数
そこで
などとなる.すなわち, 偶数乗は
また
などとなる.よって,
また前述の式 (8) と結果式 (9) の一般化から,
そして双曲線関数の公式を利用すると,
また,
となるので,
また,
となるので,
同値変換(EQUIVALENCE TRANSFORMATION)
式 (10-3) と同じ交換関係を満たす別の
逆行列を掛け合わせると,
すなわち,
変換
従って
従って,その結果も全て同じものとなる.
相対論的不変性(RELATIVISTIC INVARIANCE)
Dirac 方程式の相対論的不変性は, 差し当たり「
すなわち,
を4元ベクトルと同様に変換し, 波動関数は(座標のローレンツ変換を除いて)同じままとする.- ローレンツ変換された座標系に於ける標準的な表示を用いる.この場合, 波動関数は (1) の場合に比べて同値変換 (即ち
) だけの違いがある.
Dirac 方程式のハミルトニアン形式(HAMILTONIAN FORM OF THE DIRAC EQUATION)
「低速度の場合, ディラック方程式はシュレディンガー方程式になる」ことを示すには, それをハミルトニアン形式に書いてみると都合が良い.元の表式 (10-1) は
であるから次のように書くことが出来る:
(
式 (10.9) により
Pauli 行列について
が成り立つので,
よって, 式 (10-9) そして
我々の特別な
【 問題 】 確率密度
( 注意 ):
〈 解答例 〉式 (10.23) と式 (10.24) とから, ディラック方程式のハミルトニアン形式は次式となる:
この式 (1) の両辺に
また式 (1) のエルミート共役をとると,
この式 (3) には右から
このとき, 式 (5) の第 2 項の
従って, 式 (5) は,
すなわち,
他方,
とするならば,
従って式 (6) は, 式 (7) の
References
↑1 | [ブログ註] ただしこの節の |
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↑2 | [ブログ註] 原書での となっており,これは |
↑3 | [ブログ註] この記号は, 場の量子論に於ける「Dirac場」の研究に於いてファインマンが考案したものであり,「ファインマンスラッシュ記法」(Feynman slash notation) と呼ばれている. |
↑4 | [ブログ註] 運動量演算子 ただし,「運動量演算子 |