量子電気力学の法則(Laws of Quantum electrodynamics)
現時点では, 正当化(弁明)することなく「量子電気力学の法則」を次のように述べておこう:
- 原子系がある状態から別の状態に遷移する過程で光子を「吸収する」振幅と, 同じ遷移が光子を表わす古典的電磁波の静電誘導と等価なポテンシャルの影響下で行われるときの振幅とは「厳密に」等しい.ただし次を仮定する:
- (a) 古典的な波は, 光子を見つける
当たりの確率の 倍に等しいエネルギー密度を表すように規格化されている. - (b) 実際の古典的な波は2つの複素波
と に分割され 部分のみが保持される. - (c) ポテンシャルは摂動中に一度だけ働く, つまり電磁場の強さが一次の項のみが保持されるべきである.
- (a) 古典的な波は, 光子を見つける
- ある偏光の
立方センチメートルあたりに利用できる状態の数は,
である.これは古典論に於ける 立方センチメートル当たりの通常モードの数と全く同じであることに注意してほしい. - 光子はボーズ-アインシュタイン統計に従う.つまり同一の光子の集合体の状態は(光子を交換する, 振幅を増やすとき) 対称でなければならない.また,
個の同一光子からなる状態の統計的な重みは古典的な ではなく である.従って一般に, 適切に規格化されれば光子は古典的なマクスウェル方程式の解で表現される.
多くの表現形式が可能であるが, 電磁場を平面波で記述するのが最も便利である.平面波は, 常にベクトルポテンシャル
すると, [1] [訳註] 原書にはマイナス符号が抜けているので注意する.
そして,
従って, エネルギー密度の平均は次に等しい:
これが
よって,
従って, 1つの原子系が1個の光子を吸収する確率振幅は次とする: [2]従って, 下記の Example や, 後の Third Lecture で
放出の場合,ベクトルポテンシャルは正の指数になる以外は同じである.
Example : 1個の原子がエネルギー
行列要素
References
↑1 | [訳註] 原書にはマイナス符号が抜けているので注意する. |
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↑2 | 従って, 下記の Example や, 後の Third Lecture で |
↑3 | 【 訳註 】 [J.J.Sakuraiより] フェルミの黄金則は, 単位時間当たりの遷移確率を ただし 更に |