ローレンツ力は相対論から必然的に導出される!

前のブログ記事 [1] ローレンツ力による電荷の運動方程式 で「ローレンツ力による電荷の運動方程式はマックスウェル方程式には含まれないらしい」と書いた.W.パウリ:「相対性理論 (上)」(ちくま学芸文庫) の§ 29 に, このことを確認できる記述があったので, この本から関連する箇所を抜粋しておこう.
パウリ相対性理論表紙
\(\)

 § 28 電子論の基礎方程式の共変性

すでに§ 1 でも述べたように, ガリレイ変換に対してマックスウェルの方程式が不変でないことが相対性理論を誕生させる一つの大きな誘因となった.Lorentz は彼の1904 年の論文に於いて, 現在われわれが「ローレンツ変換」と呼んでいる変換に対してマックスウェルの方程式が不変であることを証明した.しかしこの証明は電荷や電流が存在しない場合に限られていた.電荷, 電流が存在する場合をも含めて, 方程式の不変性を完全に証明したのは Poincaré (およびこれと独立に Einstein)である.またマックスウェルの方程式を4次元テソソル形式に書きなおしたのは Minkowski である.彼は“面テソソル[2][ブログ註] ベクトルは与えられた長さを持った一つの線分で表わすことが出来るので, … Continue reading の概念を重視した最初の人である.
さて電磁場の方程式を4 次元的に不変な形式で書き下すために, まず電荷密度,電流密度に関係しない4 個の方程式を取り上げよう:

\begin{equation}
\def\pdiff#1{\frac{\partial}{\partial #1}}
\def\Bdiff#1{\frac{\partial^{2}}{\partial #1\partial #1}}
\def\reverse#1{\frac{1}{#1}}
\def\Bppdiff#1#2{\frac{\partial^{2} #1}{\partial #2^{2}}}
\def\ppdiff#1#2{\frac{\partial #1}{\partial #2}}
\def\BK#1#2{\langle #1 | #2 \rangle}
\def\BraKet#1#2#3{\langle #1 | #2 | #3 \rangle}
\def\ket#1{| #1 \rangle}
\def\bra#1{\langle #1 |}
\def\mb#1{\mathbf{#1}}
\def\ds#1{\mbox{${\displaystyle\strut #1}$}}
\mathrm{rot}\,\mb{E} + \frac{1}{c}\dot{\mb{H}} = 0,\qquad \mathrm{div}\,\mb{H}=0
\tag{B}
\end{equation}

いま虚時間座標を用いて,
\begin{equation}
(F_{41},F_{42},F_{43})=i\mb{E},\quad (F_{23},F_{31},F_{12})=\mb{H},\quad (F_{ik}=-F_{ki})
\tag{202}
\end{equation}

とおけば, 式(B)は
\begin{equation}
\ppdiff{F_{ik}}{x^{l}} + \ppdiff{F_{li}}{x^{k}} + \ppdiff{F_{kl}}{x^{i}} =0,
\tag{203}
\end{equation}

あるいは,
\begin{equation}
\mathrm{Rot}\,F =0
\end{equation}

のようにまとめられる [式 (140b) を参照] [3][ブログ註] ベクトル場 \(A_{i}(x)\) の「回転」(\(\mathrm{Rot}\), または \(\mathrm{curl}\)) を次のように表わす: \begin{equation} \mathrm{Rot}_{ik} A \equiv … Continue reading.式 (203) がローレンツ変換に対して不変であるためには, \(F_{ik}\) が“面テンソル”の共変成分でなければならない.ここでも前の4元電流の場合と同様に, 不定の比例因数が顔を出すが, 前と同様の論拠からそれは \(1\) となる.もし式 (54a) および式 (54b) によって定義されたデュアル・テンソル \(F^{ik}\) を \(F_{ik}\) の代わりに用いれば,
\begin{equation}
(F^{*41},F^{*42},F^{*43})=-\mb{H},\quad (F^{*23},F^{*31},F^{*12})=-i\mb{E}
\tag{202a}
\end{equation}

となる.そこで式 (142) と式 (141b) を使うと, 式 (203) は,
\begin{equation}
\ppdiff{F^{*ik}}{x^{k}}=0,\qquad (\,\mathrm{or}\quad \mathrm{Div}\,F^{*}=0\,)
\tag{203a}
\end{equation}

となる.しかし,普通の \(3\) 次元ベクトル解析では \(\mb{E}\) は「極性ベク トル」(空間反転に対して成分の符号を変えるベクトル), \(\mb{H}\) は「軸性べクトル」(空間反転に対して成分が不変なベクトル)[ 3次元空間の2階反対称テソソル] であることがよく知られている [4][ブログ註] … Continue reading.そこで“面テンソル”による表現式 (202) が \(\mb{E}\), \(\mb{H}\) に対する“自然な”表現であり, デュアルテンソルを用いた表現式 (202a) は, 言わば技巧的なものと見做すべきであろう.しかし Minkowski はマックスウェルの方程式を書き直すのにこれら両種の表現を用いた.ところで, この“自然な”表現法は多くの場合, まことに理解し易くまた便利なもの(特にー般相対性理論において好都合)であるにもかかわらず, その後次第に軽視されるようになり, Sommerfeld などはこの表現について一言もふれていない.この表現法が再び注意を集めるようになったのは, 1916年の Einstein の論文に復活されてから以後のことである.
\(F_{ik}\) がテンソルであるということから, 座標系の変換に対してその各成分がどのように変換されるかが完全に規定される.いま \(K’\) 系の相対速度 \(\mb{v}\) は, \(K\) 系の \(x\) 軸に対して任意の決まった方向を示しているものとする.このような一般的な場合に対する変換則はつぎのようなものである:[5][ブログ註] (C.メラー:相対性理論より) 慣性系 \(S\) と他の慣性系 \(S’\) に於いて, \(t=t’=0\) … Continue reading
\begin{equation}
\mb{E}’_{\parallel} = \mb{E}_{\parallel},\quad \mb{H}’_{\parallel}=\mb{H}_{\parallel},\quad \mb{E}’_{\perp} = \frac{\ds{\left\{\mb{E}+\frac{1}{c}(\mb{v}\times\mb{H})\right\}_{\perp}}}{\sqrt{1-(v/c)^{2}}},\quad
\mb{H}_{\perp} = \frac{\ds{\left\{\mb{H}-\frac{1}{c}(\mb{v}\times\mb{E})\right\}_{\perp}}}{\sqrt{1-(v/c)^{2}}}
\tag{204}
\end{equation}

この結果を見ると, 場の量を電場と磁場に分割することは ただ相対的な意味をもつだけであることが分かる.すなわち, \(K\) 系から見たとき, 仮に電場だけが存在するとしても, \(K\) に対して運動している第2の系 \(K’\) から見れば, 電場のほかに磁場も存在することになる.このことは次のような現象を理解するに当たって, かねがね人々が持っていた或る種の概念的困難を取り除いてくれる.すなわち「運動する磁石により静止した導線内に電流が誘起されること」と,「静止している磁場内を導線が横切るとき, その中に電流が誘起されること」との間の関係である.
電磁場のスカラー・ポテンシャル及び Lorentz の理論に出て来るベクトル・ポテンシャル \(\mb{A}\) も, 4次元的に書き表わすことが出来る.Minkowski により初めて指摘されたように, これらは一緒になって4次元世界の一つのベクトルを形成する.これは「4元ポテンシャル」と呼ばれ, その成分は,
\begin{equation}
(\phi_1,\,\phi_2,\,\phi_3)=\mb{A},\quad \phi_4 = i\psi
\tag{205}
\end{equation}

である.電磁場の強さをポテンシャルを用いて表わす公式
\begin{equation}
\mb{H}=\mathrm{rot}\,\mb{A}, \qquad \mb{E}=-\mathrm{grad}\,\psi -\frac{1}{c}\ppdiff{\mb{A}}{t}
\end{equation}

は, 4次元的形式で書くと次となる:
\begin{equation}
F_{ik} = \ppdiff{\phi_{k}}{x^{i}} – \ppdiff{\phi_{i}}{x^{k}},\qquad (\ \mathrm{or}\quad F = \mathrm{Rot}\,\phi \ )
\tag{206}
\end{equation}

4元ポテンシャルは元来, 数学的な補助的量ではあるが大変便利な量である.しかし Lorentz の電子論では, 直接的な物理的意味を持つものではない. 式 (206) からは, 場の方程式 (203) が導かれる.逆に式 (203) が成立すれば, ペクトル \(\phi_i\) を使って \(F_{ik}\) を式 (206) の形に書き表わすことが必ず出来る.しかし \(F_{ik}\) が与えられていても, 式 (206) によって \(\phi_{i}\) を一意的に決めることは出来ない.なぜならば, 仮に, 与えられた \(F_{ik}\) に対する式 (206) の解を \(\phi_{i}\) とする. その場合には, 同じ \(F_{ik}\) に対して, \(\phi_{i}+\partial \psi/\partial x_i\) もまた式 (206) を満足する.ここで \(\psi\) は世界点の任意のスカラー関数でかまわない.このように \(\phi_i\) には不定性があるので, Lorentz の理論では
\begin{equation}
\mathrm{div}\,\mb{A} + \frac{1}{c}\ppdiff{\phi}{t} = 0
\end{equation}

という条件が付けられている.この条件を4次元的に書けば次となる:
\begin{align}
&\ppdiff{\phi_{i}}{x^{i}} =\ppdiff{\phi_1}{x^{1}}+\ppdiff{\phi_2}{x^{2}}+\ppdiff{\phi_3}{x^{3}}+\ppdiff{\phi_4}{x^{4}}=\nabla\cdot\mb{A}+\ppdiff{i\phi}{ict}=\nabla\cdot\mb{A}+\frac{1}{c}\ppdiff{\phi}{t},\notag\\
&\rightarrow\qquad \ppdiff{\phi_{i}}{x^{i}} =0\qquad (\,\mathrm{or}\quad \mathrm{Div}\,\phi =0 \,)
\tag{207}
\end{align}

Lorentz のポテンシャルには \(\phi^{i}\) という4次元的表現が与えられたが, Hertz のベクトル \(\mb{Z}\) に対しては今までの処では, これの4次元的解釈については何等の試みもない.
電荷や電流密度を含むマックスウェルの方程式の第2組は,
\begin{equation}
\mathrm{rot}\,\mb{H} -\frac{1}{c}\dot{\mb{E}} = \frac{\rho\mb{u}}{c},\qquad \mathrm{div}\,\mb{E} = \rho
\tag{C}
\end{equation}

である.これも式 (B) と同じように4次元的に書き換えられる [式 (145) を参照]:
\begin{equation}
\ppdiff{F^{ik}}{x^{k}}=s^{i},\qquad (\, \mathrm{or}\quad \mathrm{Div}\,F=\mathrm{Div}\,\mathrm{Rot}\,\phi=s\,),
\qquad\mathrm{where}\quad (s^{1},s^{2},s^{3})=\rho\frac{\mb{u}}{c},\quad s^{4}=i\rho
\tag{208}
\end{equation}

もし電荷・電流密度を式 (208) [または式 (C)] で定義するとすれば, 式 (208) の左辺のベクトル性から \(s^{i}\) のベクトルであることが必然的に導かれる.\(s^{i}\) のべクトル性は, また別の論拠からも証明されることは我々のすでに知っていることである.式 (208) の場の強さを, 式 (206) を用いてポテンシャルで表わせば,
\begin{align}
&\pdiff{x^{k}}F^{ik}=\pdiff{x^{k}}\left(\ppdiff{\phi_k}{x^{i}}-\ppdiff{\phi_i}{x^{k}}\right)=\pdiff{x^{i}}\ppdiff{\phi_k}{x^{k}}-\frac{\partial^{2}}{\partial x^{k}\partial x^{k}}\phi_i=\mathrm{Grad}_i\,\mathrm{Div}\,\phi -\frac{\partial^{2}}{\partial x^{k}\partial x^{k}}\phi_i,\notag\\
&\quad \mathrm{where}\quad \frac{\partial^{2}}{\partial x^{k}\partial x^{k}}=\sum_i\Bdiff{x^{i}}+\frac{\partial^{2}}{\partial(ict)\partial(ict)}=\nabla\cdot\nabla -\frac{1}{c^{2}}\Bdiff{t}\equiv \square
\end{align}

従って, 式 (208) は次のように書き表せる:
\begin{equation}
\mathrm{Div}_{i}\,\mathrm{Rot}\,\phi = \mathrm{Grad}_{i}\,\mathrm{Div}\,\phi -\square\, \phi_{i} = s_i,
\end{equation}

式 (207)の \(\mathrm{Div}\,\phi=0\) を用いれば第1項目はゼロとなる.従って上式は次となる:
\begin{equation}
\square\, \phi_i =-s_i
\tag{209}
\end{equation}

いままで述べてきたように, 電磁場の方程式はローレンツ群に対してその形を変えない(共変性).そこでこの方程式の共変性を破らない, ローレンツ群よりも大きな変換群が存在しないだろうかと考えてみることは当然と言えよう.この質問に対する解答は Cunningham および Bateman により与えられた.彼等によれば, そのような群の中で最も一般的な群は, 光円錐の方程式
\begin{equation}
s^{2}=x^{2}+y^{2}+z^{2}-c^{2}t^{2}=0
\end{equation}

をそれ自身に変換するような「アフィン変換」の全体から構成される群である [§8の式 (B’) のことである].この群はローレンツ群を部分群に持つが, それを別にしたとき, 更にこの群は虚時間座標を用いた場合, 4次元球 (実時間を用いるならば4次元双曲面) による「鏡像変換」を含む.Weyl の「統一場理論」が発表されてからは, Bateman の定理には新たな光が差し込んだ [第 V 篇参照]. また P.Frank は次のことに対する簡単な証明をあたえた.すなわち「マックスウュルの方程式を共変にする線形変換群は, ローレンツ変換と普通の相似変換を一緒にした群以外には存在しない」ということである.

 § 29 電磁的力.電子の力学

Einstein は彼の第1論文ですでに次のことを示した.すなわち, もし電磁場内を無限に小さな速度を持って運動している点電荷の運動の法則が分かっているとき, 相対性理論を用いれば, 任意の大きさの速度を持って電磁場の中を運動する点電荷の行動について明確な予言をすることが可能であるということである.ここで言う点電荷とは, 電荷をもった物体の拡がりがその物体の内部では外部からこれに働く電磁場が一様であると見なせるほどに小さなものを意味する.従って点電荷というときは, それは必ずしも電子を指すとは限らない.いま座標系 \(K’\) から観たとき或る瞬間に点電荷が瞬間的に静止しているとする.この系から観た時の点電荷に外から働いている電場の強さを \(\mb{E}’\), またその電荷を \(e\), 質量を\(m\) とすれば, \(K’\) 系からみた運動の方程式は,

\begin{equation}
m_0 \frac{d^{2} \mb{r}’}{dt’^{2}} = e\mb{E}’
\tag{210}
\end{equation}

ここで式 (204) そして次の加速度の変換公式 (194) を用いる: [6][ブログ註] (§ 26 の「加速度の変換則」より) 速度の変換則は3次元速度 \(\mb{u}\) を用いる代わりに次の4元速度を用いる: \begin{equation} U^{i}=\frac{d … Continue reading
\begin{equation}
\dot{u}’_x=\frac{\dot{u}_x}{(1-\beta^{2})^{3/2}},\quad \dot{u}’_y=\frac{\dot{u}_y}{1-\beta^{2}},\quad
\dot{u}’_z=\frac{\dot{u}_z}{1-\beta^{2}}
\tag{194}
\end{equation}

すると, 座標系 \(K\) (この系から見た場合, 点電荷は速度 \(\mb{u}\) を持って \(K\) 系の \(x\) 軸の方向に走っているとする.従って \(K’\) 系もこの瞬間には同じ速度 \(\mb{u}\) で走っていることになる) に於ける点電荷の運動方程式を導くことが出来る.上式 (210) に, 式 (204) の \(\mb{E}_{\parallel}\) 及び \(\mb{E}_{\perp}\) を \(\mb{E}_{x}=\mb{E}_{\parallel}\) そして \(\mb{E}_y,\mb{E}_z = \mb{E}_{\perp}\) としたもの, そして式 (194) を代入すると, 結果は次のようになる:
\begin{align}
\frac{m_0}{(1-\beta^{2})^{3/2}}\frac{d^{2}x}{dt^{2}} &= eE_x =e\mb{E}_x=e\left[\mb{E}+\frac{1}{c}(\mb{u}\times\mb{H})\right]_{x},\notag\\
\frac{m_0}{\sqrt{1-\beta^{2}}}\frac{d^{2}y}{dt^{2}} &= e\left[\mb{E}+\frac{1}{c}(\mb{u}\times\mb{H})\right]_{y},\tag{211}\\
\frac{m_0}{\sqrt{1-\beta^{2}}}\frac{d^{2}z}{dt^{2}} &= e\left[\mb{E}+\frac{1}{c}(\mb{u}\times\mb{H})\right]_{z}
\end{align}

ただし \(x\) 方向の式では「\((\mb{u}\times\mb{H})\) は \(\mb{u}\) に対して垂直であるから, その速度 \(\mb{u}\) 方向の成分すなわち \(x\) 成分はゼロである」ことを用いている.
この結果をながめると, まずこの右辺はまさに「ローレンツ力」となっていることが分かる.もともとは, 口ーレンツ力については, マックスウェル方程式とは独立に一つの要請として, よく知られているその数学的形式が提唱された.しかし相対性理論では, 上の導き方からも分かるように式 (210) と相対性原理から必然的に出て来る.しかしここで次のことに注意しなければならない.すなわち, 上に述べたことは, \(u/c\) の2次またはそれより高次の量に関する限り, それは物理法則に関するものではなく, 単なる定義の問題にすぎないということである.実際, 右辺の量を「力」と定義する時, どれだけの部分を左辺に, またどれだけを右辺におくべきかということは, 一見まったく任意であるように思われる.例えば, 式 (211) の両辺に \(\sqrt{1-\beta^{2}}\) を掛けてもよいし, 或いは \((1-\beta^{2})^{3/2}\) を掛けても差しつかえないと思われる.それぞれの場合, 右辺を力の成分と呼んでもよかろう.Einstein は運動系 \(K\) に於いても \(e\mb{E}’\) を力と定義すべきであるとはじめは考えた.しかし相対論的力学によれば, 最も便利でまた最も自然な力の定義は式 (211) である.これは Planck の提唱したものである.この定義に従えば, 任意の速度 \(\mb{u}\) で運動している電荷に対するローレンツ力
\begin{equation}
\mb{K}=e\left[\mb{E}+\frac{1}{c}(\mb{u}\times\mb{H})\right]
\tag{212}
\end{equation}

が相対論における力である.なぜならば, この式 (212) だけがまさに運動量の時間微分に等しくなることが分かるからである [相対性理論でも外力が作用していない閉じた物理系では, 運動量は時間的に一定でなければならない](§ 37 を参照).式 (204)と式 (212) から力に対する変換則が導かれる:
\begin{equation}
K_x =K’_{x},\quad K_y = K’_{y}\sqrt{1-\beta^{2}},\quad K_z = K’_{z}\sqrt{1-\beta^{2}}.
\tag{213}
\end{equation}

この式を導くのに, この電磁的力が作用している荷電体は, 問題にしている瞬間に座標系 \(K’\) から見たとき, 瞬間的に静止しているものと仮定した.
古い文献では \(m_0/(1-\beta^{2})^{3/2}\) はしばしば「縦質量」と呼ばれている.また \(m_0/\sqrt{1-\beta^{2}}\) も「横質量」と名づけられている.これは式 (211) を見れば納得のいくことである.しかし式 (211) を
\begin{align}
&\frac{d}{dt}(m\dot{\mb{r}}) =\mb{K},\tag{214}\\
&m=\frac{m_0}{\sqrt{1-\beta^{2}}}\tag{215}
\end{align}

と書きかえる方がもっと便利である.このようにすれば式 (215) で定義された \(m\) は縦, 横に無関係に常に質量の役目を荷なうことになる.質量に対する式 (215) という形式は, 特に電子の質量に対して Lorentz により初めて与えられた.彼は, 電子自身もその運動の結果,“ローレンツ収縮”をこうむるという仮定からこの結果を導いた.これに対して Abraham の考えた電子の剛体模型では, 速度による質量の変化の様子はもっと複雑になる.電子の形や, その電荷分布に対する特別な仮定には関係なく, 相対性理論が Lorentz の与えた質量と速度の関係式 (215) を導いたということは, 物理学上の一つの進歩であると明言して良い.なお式 (215) を導くのに質量の正体について何の仮定もする必要はない.上の例では電磁的な力に対して式 (215) を導いたが, 後に相対論的力学に於いて任意の力に対して, 同様に式 (215) が成り立つことが示される.これらのことからも分かるように式 (215) は, 秤で測ることの出来るいかなる種類の質量について対しても成り立つ.従って陰極線を屈折させるという実験により定数の“真の”質量と, 電磁的質量を見分けようと言う古くからある考えは, 相対性理論の立場からは支持できない.

References

References
1 ローレンツ力による電荷の運動方程式
2 [ブログ註] ベクトルは与えられた長さを持った一つの線分で表わすことが出来るので, ベクトルのことを「線テンソル」と呼ぶ.線より1次元だけ高い次元の幾何学的実体は面である.面に対応して「面テンソル」が存在する.これは2階反対称テンソルである.これは2個のベクトル \(\def\mb#1{\mathbf{#1}}\mb{x}\), \(\mb{y}\) から次の様にして作られる.基準となる座標系を構成している4個の基礎ベクトル \(\mb{e}_i\) の内の任意の2個, 例えば \(\mb{e}_i\) と \(\mb{e}_k\) は一つの2次元平面 \(F_{ik}\) を規定する.この様な平面は全部で6個ある.いま \(\mb{x}\), \(\mb{y}\) の張る平行四辺形を平面 \(F_{ik}\) 上に平行射影したもの [すなわち \(\mb{x}\) の \(\mb{e}_i\), \(\mb{e}_k\) 上への平行射影から平面 \(F_{ik}\) 上に於ける \(\mb{x}\) の平行射影が決まる.全く同様のことは \(\mb{y}\) についても成り立つ.これら両者の射影の張る平行四辺形が平行四辺形の平面 \(F_{ik}\) 上への平行射影である] を, \(\mb{e}_i\), \(\mb{e}_k\) の張る平行四辺形の面積を単位として測定した値は \(\xi^{ik}=x^{i}y^{k}-x^{k}y^{i}\) によって与えられる.\(\xi^{ik}\) は2階反対称テンソルの反変所分である.すなわち \(\xi^{ik}=-\xi^{ki}\) と言う関係が成り立つ.このような関係を満足する成分を持つ2階反対称テンソルは全て「面テンソル」と呼ばれる (§ 11 より).
3 [ブログ註] ベクトル場 \(A_{i}(x)\) の「回転」(\(\mathrm{Rot}\), または \(\mathrm{curl}\)) を次のように表わす:
\begin{equation}
\mathrm{Rot}_{ik} A \equiv \mathrm{Rot}_{ik}\{A_{i}\} \equiv \ppdiff{A_{k}}{x^{i}} – \ppdiff{A_{i}}{x^{k}}
\end{equation}

\(\mathrm{Rot}\) は一種の反対称テンソルであり, 3次元空間の軸性ベクトル \(\mathrm{rot}\,\mb{A}\) に対応する.
ベクトル場 \(A_i(x)\) の「発散」(\(\mathrm{Div}\)) は次で表される:
\begin{equation}
\mathrm{Div} A \equiv \mathrm{Div}\{A_i\} \equiv \pdiff{x_i} A_i
\end{equation}

これはスカラー場の一つであり, 3次元空間の発散 \(\mathrm{div}\,\mb{A}\) に相当するものである.
4 [ブログ註] 「軸性ベクトル」は2つの極性ベクトルのベクトル積として表せる.2つの「極性ベクトル」あるいは2つの「軸性ベクトル」のスカラー積は, 「真のスカラー」である.すなわち, それは反転に対して不変である.軸性ベクトル極性ベクトルとのスカラー積は「擬スカラー」である.それは反転に際して符号を変える.例えば, 電場と磁場はポテンシャルにより次の様に表せる:
\begin{equation}
\mb{E}=-\frac{1}{c}\ppdiff{\mb{A}}{t}-\nabla \phi,\quad
\mb{H}=\mathrm{rot}\,\mb{A}=\nabla\times \mb{A}
\end{equation}

従って, \(\mb{E}\) は「極性ベクトル」であるが, \(\mb{H}\) は「軸性ベクトル」である.これから, \(H^{2}-E^{2}\) は明らかに「真のスカラー」であるが, \(\mb{E}\times\mb{H}\) は「擬スカラー」であることが分かる.
5 [ブログ註] (C.メラー:相対性理論より) 慣性系 \(S\) と他の慣性系 \(S’\) に於いて, \(t=t’=0\) で2つの直交座標軸の原点が一致していたとすれば, これらの時空座標間の関係は「斉次Lozentz変換」, すなわち次の量
\begin{equation}
s^{2}=x^{2}+y^{2}+z^{2}-c^{2}t^{2}=x’^{2}+y’^{2}+z’^{2}-c^{2}t’^{2} = s’^{2}
\end{equation}

を不変にする斉1次変換で与えられる.次に
\begin{equation}
x_1=x,\quad x_2=y,\quad x_3=z,\quad x_4=ict,\quad x’_1=x’,\quad x’_2=y’,\quad x’_3=z’,\quad x’_4=ict’
\end{equation}

と置けば, 斉次Lorentz変換は斉1次変換
\begin{equation}
x’_i = \sum_{k=1}^{4} \alpha_{ik} x_{k},\qquad ( i=1,2,3,4)
\end{equation}

で表わすことが出来る.ただし, その際に
\begin{equation}
s^{2}=\sum_i x_i^{2}=\sum_i x’^{2}_i
\end{equation}

という条件が満たされていなければならない.特に \(S\) 系の各軸と \(S’\) 系の各軸とがそれぞれ平行であり, また \(S’\) は \(S\) に対してその \(x\) 軸の正の方向に速度 \(\mb{v}\) で運動しているとする時のローレンツ変換, すなわち「特殊Lorentz変換」の式は,
\begin{equation}
x’=\frac{x-vt}{\sqrt{1-v^{2}/c^{2}}},\quad y’=y,\quad z’=z,\quad t’=\frac{t-vx/c^{2}}{\sqrt{1-v^{2}/c^{2}}}
\end{equation}

となるから,この時の係数 \(\alpha_{ik}\) は \(\beta=v/c\) そして\(\gamma=(1-\beta^{2})^{-1/2}\) とするとき次となる:
\begin{equation}
\alpha_{ik}=\begin{pmatrix}\gamma & 0 & 0 & i\beta\gamma \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ -i\beta\gamma & 0 & 0 & \gamma \end{pmatrix},\quad \mathrm{where}\quad \beta=\frac{v}{c},\quad \gamma=\frac{1}{\sqrt{1-\beta^{2}}}
\end{equation}

座標系 \(S\) に於ける2階の4元テンソルの成分を \(T_{ik}\) とするとき, 他の座標系 \(S’\) に於ける成分 \(T’_{ik}\) は, 次の変換式によって \(T_{ik}\) と結ばれる:
\begin{equation}
T’_{ik} = \sum_{l,m} \alpha_{il}\alpha_{km}T_{lm},\qquad T_{ik}=T’_{lm}\alpha_{li}\alpha_{mk}
\end{equation}

電場 \(\mb{E}\) と磁場 \(\mb{H}\) に対して, 慣性系 \(S\) に於ける 「電磁テンソル」\(F_{ik}\) を次で定義する:
\begin{equation}
F_{ik}=\begin{pmatrix} 0 & H_z & -H_y & -iE_z \\ -H_z & 0 & H_x & -iE_y \\ H_y & -H_z & 0 & -iE_z \\ iE_x & iE_y & iE_z & 0 \end{pmatrix}
\end{equation}

このとき独立な成分は次の6個である:
\begin{equation}
E_1=E_x=iF_{14},\ E_2=E_y=iF_{24},\ E_3=E_z=iF_{34},\quad H_1=H_x=F_{23},\ H_2=H_y=F_{31},\ H_3=H_z=F_{12}
\end{equation}

この \(F_{ik}\) の特殊ローレンツ変換は \(F’_{ik}=\alpha_{il}\alpha_{km}F_{lm}\) となる.\(\beta=v/c\) そして\(\gamma=(1-\beta^{2})^{-1/2}\) とするとき \(H_i\) 及び \(E_i\) の変換式は次となる:
\begin{align}
&H’_1=H_1,\quad H’_2=\gamma(H_2+\beta E_3),\quad H’_3=\gamma(H_3-\beta E_2),\\
&E’_1=E_1,\quad E’_2=\gamma(E_2-\beta H_3),\quad E’_3=\gamma(E_3+\beta H_2)
\end{align}

従って, 回転を伴わない一般のLorentz変換に対しては, \(\mb{E}\) と \(\mb{H}\) の変換公式は次となる:
\begin{align}
\mb{E}’ &=\gamma\mb{E}+\frac{\mb{v}}{v^{2}}(\mb{v}\cdot\mb{E})(1-\gamma)+\frac{\gamma}{c}(\mb{v}\times\mb{H}),\notag\\
\mb{H}’ &= \gamma\mb{H}+\frac{\mb{v}}{v^{2}}(\mb{v}\cdot\mb{H})(1-\gamma)-\frac{\gamma}{c}(\mb{v}\times\mb{E})
\end{align}

これを速度 \(\mb{v}\) と平行な成分 \(\mb{E}_{\parallel},\,\mb{H}_{\parallel}\) と垂直な成分 \(\mb{E}_{\perp},\,\mb{H}_{\perp}\) とに分けて表わすことを考える.それには, 右辺の第2項目が速度に平行な成分 \(\mb{E}_{\parallel}(1-\gamma),\,\mb{H}_{\parallel}(1-\gamma)\) であることに注意すれば良い.従って,
\begin{align}
\mb{E}’_{\parallel}&=\gamma\mb{E}_{\parallel}+\mb{E}_{\parallel}(1-\gamma)=\mb{E}_{\parallel},\quad \mb{E}’_{\perp}=\gamma\mb{E}_{\perp}+\frac{\gamma}{c}(\mb{v}\times\mb{H})_{\perp},\\
\mb{H}’_{\parallel}&=\gamma\mb{H}_{\parallel}+\mb{H}_{\parallel}(1-\gamma)=\mb{H}_{\parallel},\quad
\mb{H}’_{\perp}=\gamma\mb{H}_{\perp}-\frac{\gamma}{c}(\mb{v}\times\mb{E})_{\perp}
\end{align}

電磁場は, その測定に用いられる器具の制約によって, 電場と磁場に分けられているが, この様に分けることは何ら絶対的な意味を持っていない.例えば, \(S\) 系で見れば電場のみが存在する場合すなわち \(\mb{H}=0\) でも, \(S’\) 系に於いては磁場 \(\mb{H}’\neq 0\) が現れることは, 上式から明らかである.上述のことは物理的に考えて見ても当然のことである.すなわち \(S\) 系に於いて電場のみが存在すると言うことは, 電荷全体が \(S\) 系に対して静止していることである.従って \(S’\) 系に対しては, 電荷は \(-\mb{v}\) の速度で運動していることになる.この結果, \(S’\) 系に於いては定常電流が流れ, このために磁場が生じることになる.
6 [ブログ註] (§ 26 の「加速度の変換則」より) 速度の変換則は3次元速度 \(\mb{u}\) を用いる代わりに次の4元速度を用いる:
\begin{equation}
U^{i}=\frac{d x^{i}}{d\tau},\quad (U^{1},U^{2},U^{3})=\frac{\mb{u}}{\sqrt{1-\beta^{2}}},\quad U^{4}=\frac{ic}{\sqrt{1-\beta^{2}}},\quad \left( \beta=\frac{u}{c} \right)
\tag{190}
\end{equation}

ただし \(\tau\) は質点と一緒に質点の世界線に沿って運動する時計の示す時間すなわち「固有時」であり, 系 \(K\) の時間 \(t\) とは \(d\tau=dt\sqrt{1-\beta^{2}}=dt/\gamma\) の関係がある.よって, \(dt/d\tau=\gamma\) である.従って, 上記の \(U^{i}\) 成分は次のように求まる:
\begin{equation}
U^{i}=\frac{dx^{i}}{d\tau}=\frac{dx^{i}}{dt}\frac{dt}{d\tau}=u^{i}\gamma,\quad U^{4}=\frac{dx^{4}}{d\tau}=\frac{d(ict)}{d\tau}=ic\frac{dt}{d\tau}=ic\gamma
\end{equation}

\(K\) から \(K’\) に移る時 \(U^{i}\) の変換則は次となる:
\begin{equation}
U’^{1}=\frac{U^{1}+i\beta U^{4}}{\sqrt{1-\beta^{2}}},\quad U’^{4}=\frac{-i\beta U^{1}+U^{4}}{\sqrt{1-\beta^{2}}},\quad U’^{2}=U^{2},\quad U’^{3}=U^{3}
\tag{191}
\end{equation}

4元加速度 \(B^{i}\) は4元速度 \(U^{i}\) を用いて次で定義される:
\begin{align}
&B^{i}=\frac{d U^{i}}{d\tau}=\frac{d^{2} x^{i}}{d \tau^{2}},\\
&(B^{1},B^{2},B^{3})=\frac{\dot{\mb{u}}}{1-\beta^{2}}+\mb{u}\frac{(\mb{u}\cdot\dot{\mb{u}})}{c^{2}}\frac{1}{(1-\beta^{2})^{2}}=\frac{\dot{\mb{u}}}{1-\beta^{2}}+\frac{\mb{u}}{ic}B^{4},\quad B^{4}=i\frac{(\mb{u}\cdot\dot{\mb{u}})}{c}\frac{1}{(1-\beta^{2})^{2}}
\tag{193}
\end{align}

この \(B^{i}\) 成分は,
\begin{equation}
\frac{d\gamma}{dt}=\frac{d}{dt}\left(1-\frac{u^{2}}{c^{2}}\right)^{-1/2}=\frac{d}{d(u^{2})}\left(1-\frac{u^{2}}{c^{2}}\right)^{-1/2}\frac{d(u^{2})}{dt}=\frac{\gamma^{3}}{c^{2}}u\frac{du}{dt}=\frac{\gamma^{3}}{c^{2}}(\mb{u}\cdot\dot{\mb{u}})
\end{equation}

を用いて次のように求まる:
\begin{align}
B^{i}&=\frac{dU^{i}}{d\tau}=\frac{dU^{i}}{dt}\frac{dt}{d\tau}=\gamma\frac{dU^{i}}{dt}
=\gamma\frac{d}{dt}(\gamma u^{i})=\gamma\left(\frac{d\gamma}{dt}u^{i}+\gamma\frac{du^{i}}{dt}\right)\\
&=\gamma\frac{\gamma^{3}}{c^{2}}(\mb{u}\cdot\dot{\mb{u}})u^{i}+\gamma^{2}\,\dot{u}^{i}=u^{i}\frac{\gamma^{4}}{c^{2}}(\mb{u}\cdot\dot{\mb{u}})+\gamma^{2}\,\dot{u}^{i},\\
B^{4}&=\frac{dU^{4}}{d\tau}=\frac{d(ic\gamma)}{d\tau}=ic\frac{d\gamma}{dt}\frac{dt}{d\tau}=i\frac{\gamma^{4}}{c}(\mb{u}\cdot\dot{\mb{u}})
\end{align}

特に, いまある瞬間に \(K’\) から見た時ある物体が瞬間的に静止しているとする.従って \((\mb{u}’=0,\,\gamma=1)\) である.またこの瞬間に, この物体は別の座標系 \(K\) に対して速度 \(\mb{u}\) で走っているものとする.\(K’\) から眺めた時のこの瞬間に於けるこの物体の加速度と, \(K\) から見た場合の加速度との間の関係を考える. 上式で \(B’\) の場合に \(\mb{u}’=0,\,\gamma=1\) を代入すると, \(B’^{4}=0\) そして \(B’^{i}=[\dot{\mb{u}}’]^{i}\) である.よって \(\mb{u}\) の方向を \(x\) 軸に選ぶことにすると \(B’^{i}\) 及び \(B^{i}\) は次となる:
\begin{align}
&(B’^{1},B’^{2},B’^{3})=\dot{\mb{u}}’,\quad B’^{4}=0,\\
&B^{1}=\frac{\dot{u}_x}{1-\beta^{2}}+\frac{\beta}{i}B^{4},\quad B^{2}=\frac{\dot{u}_y}{1-\beta^{2}},\quad B^{3}=\frac{\dot{u}_z}{1-\beta^{2}},\quad \left( \beta=\frac{u}{c} \right)
\end{align}

また, \(B^{i}\) は4元ベクトルであるから, 特殊ローレンツ変換の逆関係から次となる:
\begin{equation}
B^{1}=\frac{B’^{1}}{\sqrt{1-\beta^{2}}},\quad B^{2}=B’^{2},\quad B^{3}=B’^{3},\quad B^{4}=\frac{i\beta B’^{1}}{\sqrt{1-\beta^{2}}}
\end{equation}

この両辺に上の式を代入すると, \(\dot{\mb{u}}\) と \(\dot{\mb{u}}’\) の関係式が次のように求まる:
\begin{equation}
\dot{u}_x=\dot{u}’_x (1-\beta^{2})^{3/2},\quad \dot{u}_y=\dot{u}’_y (1-\beta^{2}),\quad \dot{u}_z=\dot{u}’_z (1-\beta^{2})
\tag{194}
\end{equation}

これは既に Einstein の第1論文に出て来たものである.