平面波の光子を次のポテンシャルで表現することは, 本質的には「ゲージ」の選択である.選択の自由が存在することは, パウリ方程式が量子力学的なゲージ変換に対して不変であることに起因している.
量子力学的なゲージ変換は, 以下の古典的なゲージ変換を単純に拡張したものである:[1][ 訳註 ] ファインマンはゲージ変換の式 (3.1)
そして
量子力学では, さらに次のような波動関数の変換が導入される:
これによるパウリ方程式の不変性は以下のようにして示される.パウリ方程式は,
すると, [
そして,
時間についての偏微分は, 項
従って, 次の代入を行っても Pauli 方程式は変わらない: [2][ 訳註 ] 【 参考 】 (A)
光子に対して定義されるベクトルポテンシャル
は皆, 次の行列要素
この式は「その摂動は, エネルギーがそれぞれ
前の結果式 (2.7) を利用すると, 1秒あたりの遷移の確率は次である:
ポテンシャルが作用するのは一度だけという規則 (これは1次の項だけを加えるのと同じである) の理由で, この問題に
-
-
または,
ただし
この結果は厳密なものである.これは, いわゆる「電気双極子近似」を用いることで簡単化できる.この近似を導くために, 項
行列要素は次である:
よい近似値として, 次のような分離をすることが出来る:
するとこの近似の正確さに於いて, 積分は
なぜなら,状態は直交しているからである. [4][ 訳註 ] この式 (3.16)
差し当たり(For the present), 双極子近似が用いられている.すると
従って,
従って, 式 (3.10) から
演算子の代数を用いると
従って,
ただし
ただし, 項
式 (2.6) から
ただし
References
↑1 | [ 訳註 ] ファインマンはゲージ変換の式 (3.1) if しかし, これは明らかに単純な書き間違えであろう.また, 式 (3.5) は次のように変更した: |
---|---|
↑2 | [ 訳註 ] 【 参考 】 (A) (B) [Landau and Lifshitz : Quantum Electrodynamics §33] 非相対論的極限 ( 外場内の電子に対するディラック方程式から出発しよう: 粒子の相対論的エネルギーには, その静止エネルギーも含まれる.非相対論的近似へ移るときに, それは消去されなければならない.従って次式のように定義される関数 すると, 以下では 1次近似では式 (33.3) の左辺で (従って パウリ行列に対して次の関係式が成り立つ: ただし 従って, ただし これがいわゆる「パウリ方程式」である.これはハミルトニアンに最後の項が現れる点で, 非相対論的シュレディンガー方程式と異なっている.この項は外場内に於ける磁気的2重極のポテンシャルエネルギーの形をしている.このようにして を持つ粒子のように振る舞う.この磁気回転比 (C) 前述で, 式 (3.1) はパウリ方程式 (33.7) に等価であることが示されたので, この式 (33.7) に対してゲージ変換 (3.2) を施してみよう: この左辺は, 右辺は, 式 (2) と式 (3) から, 式 (1) はゲージ変換前の式 (33.7) の形に一致することが示される: |
↑3 | 例えば, D.L.Landau and E.M. Lifshitz,”Quantum Mechanics; Non-Relativistic Theory,” Addison-Wesley, Reading, Massachusetts, 1958, Sec. 40. を見よ. |
↑4 | [ 訳註 ] この式 (3.16) ランダウ:「量子力学」§97に次の文章がある:「因子 |
↑5 | [ 訳註 ] 原文では 従って |
↑6 | [ 訳註 ] 式(3.25)の結果はランダウ:「量子力学」§97の式(97.4)に一致している. |