ファインマンの第6講に出現した「Kramers-Heisenberg公式」について, J.J.Sakurai;「Advanced Quantum Mechanics」 §2.5 では その公式を適用出来る例として Rayleigh 散乱を説明しているので, その記述を抜粋しておく.
Rayleigh 散乱 (Rayleigh scattering)
式 (2.162) の「Kramers-Heisenbergの公式」には詳しく検討する価値のある特殊な場合がある.まず
従って,
行列要素
右辺は中間状態
更に, 式(2.124) の関係式
ただし
以上の結果式 (1) と式 (2) から, 最終的に
すると式 (2.162) の3つの項が組み合わさって次となることが分かる:
更に
を用いると,
この第 1 項目は, 前の式 (2) で用いた関係
以上のことから, 式 (2.165) は式 (3) の第 2 項のみとなる:
この結果を式 (2.162) の微分散乱断面積の式に用いる.すると
従って,「長波長での散乱断面積は波長
References
↑1 | 単位ベクトルである「偏極ベクトル |
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↑2 | 砂川重信:「量子力学」の第 8 章 § 4 には,「Rayleigh 散乱の微分断面積」と「Thomson 散乱の微分断面積」との関係も示されている: ただし ただし |