特殊相対論のローレンツ変換の公式を考える場合, 初等的教科書のほとんどは, 二つの座標系
次は Misner el al. : Gravitation § 2.10 の練習問題 2.7 の抜粋である:
Exercise 2.7 BOOST IN AN ARBITRARY DIRECTION
An especially useful Lorentz transformationhas the matrix components
whereand are parameters, and .
そして, 以下は D. Jackson : 「電磁気学」の§ 11.2 の記述を補足したものである:
2つの座標系
このときの
この式 (1) の変換は,
それに対して図1の右図のように,
ただし,
よって, 上式 (2) から次のような「同次の一般的な Lorentz 変換式」が得られる:
更に, 4次元座標
式 (5) と式 (6) とを比較するならば, 式 (5) の結果は, 前述の Misner の式 (2.44) に一致することが分かる:
( 参考 ) 内山:「相対性理論」によれば, 「一般の Lorentz 変換」は次のように定義される:
任意の世界点
の , から見た座標をそれぞれ , とする.いま と の間に
の関係があるとする. 更に, 光速度不変の原理に基づく次の条件を満たすとする:
ただし,は「平坦時空の計量テンソル」で, その符号系は Misner 本と同じ とする.
このとき, 変換は「Lorentz 変換」である.式 (9) を式 (8) に代入して の係数を比較すると次式が成り立つ:
従って, 「式 (8) で定義された座標変換に於いて,その係数 が式 (10) を満たすとき, それは Lorentz 変換である」.
この式 (10) を, 「
となるから, 式 (10) の行列表現は次となる:
式 (7) すなわち式 (2.44) の
また, 式 (2.44) を回転行列を用いて求める方法もあるらしい.例えば, 次のサイトの文章に分かり易い導出の説明が示されていた:
https://www.phyas.aichi-edu.ac.jp/~takahasi/Project_H_pdf/Rel.SgrA.2.pdf
その文中の 5.6 ローレンツ変換の一般的表現(任意の向きの相対速度) に於ける 次の式
の具体的な計算を, やはり Maxima で実行して見たので, その結果を示しておこう:
ここでは, 前述の
を用いて表している. この関係式 (13) および三角関数の公式を図 3. 中の最後の結果式に当てはめるならば, ちょうど式 (2.44) に一致する結果になっていることが確かめられると思う.