「はてなブログ」の方にずっと前に書いた記事で間違った記述をしてしまった!.そこで間違いを修正し, 改めてこちらに書いておく.
厳密なラグランジアンは相対論的な議論が必要である.そこでランダウ=リフシッツ:「力学・場の理論」§43 からの抜粋により「相対論的なラグランジアン」を求めておこう.また, その場合の相対論的ハミルトニアンを近似することで得られる「非相対論的なハミルトニアン」の表現も求めておく.因みに, シュレディンガー理論で電磁場中の荷電粒子の問題を最初に解いたのは, 1930年の L.D.Landau だそうである.
相対論的なラグランジアン
電磁場の性質は「4元ポテンシャル」と呼ばれる4元ベクトル
ただし4元ポテンシャル
すると
また世界間隔は
電磁場中の電荷のラグランジアンは上式の被積分関数である.よって, そのラグランジアンは次である:
従って, 小さい速度の場合, 式(4)のラグランジアンの近似式は, 前述した記事のラグランジアンとなる:
場中の荷電粒子の非相対論的ハミルトニアン
位置座標
ただし
場の中の荷電粒子の粒子のハミルトニアンは, もしも一般公式から求めることが出来ると考えるならば, 式(4)のラグランジアンと式(6)の力学的運動量
しかしながら, ハミルトニアンは速度でなく粒子の一般化運動量で表わす必要がある.
式(6)と式(8)から
これより次が得られる:
この式(10)と式(8)との比較から
この式(11)を, 式(6)から得られる式に用いることで速度
これを
速度が小さい場合, すなわち
従って, 小さい速度の場合のハミルトニアンすなわち「非相対論的なハミルトニアン」
また, 式(9)からは 4元運動量ベクトル
ただし
以上の式は全てGauss単位系の表現である.もし SI 単位系を用いた教科書, 例えば, 内山龍雄:「相対性理論」などに於いては, 4元ポテンシャルの表現が
ここに出現した「力学的運動量」
従って, 「古典力学的ハミルトニアン」が得られたならば, それを正準運動量
すなわち, ファインマン物理学の § 21.1 の最後に書かれているように, 『ベクトルポテンシャルの存在は全ての振幅を指数関数の因子
で置き換える」という法則と同じことになる』のである!.因みに, この置き換えは「minimal substituiton」と呼ばれているようである.また, この「量子力学の原理」は最初の式(1)を指している.
( 参考 ) ランダウは「力学・場の理論」では式(14)のように記しているが, ランダウ=リフシッツ:「量子力学」の§ 43 では文字表記を変えて次のようにしているので注意が必要である:
この場合の