ファインマンの第6講では, プランクの黒体放射分布則の導出が述べられている.これを理解するために, J.J.Sakurai;「Advanced Quantum Mechanics」 §2.4 の「Planckの輻射則」の記述を抜粋しておく.
Planckの輻射則
この節の最後に, 場の量子論の観点からプランクの輻射則を導出したい.熱平衡が成立するような可逆過程
によって自由にエネルギーを交換できる原子(状態
という平衡条件が成り立つ.ただし
ただし
しかし,
従って,
これらの結果式 (2.151) と式 (2.154) を用いると, 次式が得られる:
ただし
ただし
単位体積当りの振動数ごとのエネルギー分布は,
これは20世紀の量子領域の物理学を切り開いたプランクの有名な法則である.
我々のプランク法則の導出と1917年のアインシュタインの導出を比較することは有益である.どちらも原子と放射場の熱平衡に基づいている.アインシュタインの導出では,「詳細つりあいの原理(principle of detailed balance)」を明示的に行使している.対照的に, 我々の導出では詳細つりあいの物理学は式 (2.153) に含まれており, これは輻射の量子論で使われるハミルトニアンのエルミート性の自動的な結果である.また, 我々の導出では「自発放射」と「誘導放射」からの寄与を区別していないことにも注意してほしい.
この節では2つの原子状態間の輻射遷移に焦点を当てて来たが, 私たちが習得したテクニックは他の多くの現象にも容易に適用することが出来る.例えば, 光電効果の断面積を計算したり(問題2-4),